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新規事業(新製品)開発の進め方|アイデア創出から事業化までのプロセスを解説

概要

新規事業や新製品開発では、最初から「何を作るか」を考えるのではなく、顧客の課題や市場の変化、自社の強みを整理しながら、取り組むべきテーマを絞り込んでいくことが重要です。本ページでは、

という大きな流れを軸に、中小企業が新規事業を検討するときの考え方を整理します。
※新規事業に唯一の正しい進め方があるわけではありません。本ページも、一つの整理方法としてご覧ください。

関連ページ
本ページで紹介する流れを具体的な事例に当てはめたページや、個別テーマの解説ページも公開しています。

【事例で見る】新製品開発・新規事業創出の進め方
【事例分析】新規事業創出の失敗パターンとリスク
新規事業(新製品)開発に関するFAQ
新規事業の市場調査・顧客ニーズの確かめ方
新規事業の売上計画・数値計画の作り方
新規事業の骨子
新規事業の事業化

― 新規事業に「唯一の正しい進め方」はありません ―

「新しい商品を開発したい」
「既存の技術を生かして、新しい事業を始めたい」
「今の事業は安定しているが、5年後、10年後を考えると不安がある」
新規事業を考え始めるきっかけは、会社によって違います。

また、新規事業について調べると、PEST、SWOT、3C、STP、ビジネスモデルキャンバスなど、さまざまなフレームワークが出てきます。
ただし、どの企業にも当てはまる「新規事業の成功法則」はありません。
会社によって、既存事業、顧客、技術、人材、資金、市場環境などが異なるためです。
したがって、フレームワークを使うこと自体を目的にするのではなく、

自社では何を考える必要があり、そのためにどの道具を使うか

という順番で考えることが重要です。

現場で話を聞いていると、SWOTや3Cを先に埋めても、あまりその会社らしい案にならないことがあります。まず事実や違和感を拾って、「たぶんここが課題だろう」と仮説を置く。そのあとでフレームワークを使う方が、スムーズに進むケースが多かった印象です。

フレームワークについて詳しくは、[新規事業支援はフレームワークから入らない]でも解説しています。

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➀フレームワークは最後に使う
 SWOTや3Cを先に埋めても、その会社らしい新規事業になるとは限りません。私の場合、実際の実務では、逆の順番で進めています。まず現場の事実を集め、違和感を探し、「なぜこうなっているのか」と問いを立てて、仮説を置きます。フレームワークを使うのは、そのあとです。答えを出すためではなく、考え漏れを確認するために使うものだと考えています。

➁最初から「新市場×新製品」を狙わない
 新しい市場と新しい製品を同時に狙うと、顧客の理解、開発、販売のすべてを、ゼロから作ることになります。私は、どれか一つに既存の強みを残したほうが、進めやすいと考えています。入口は二つあります。既存顧客に新製品を提案するか、既存技術を新しい市場へ展開するかです。最初の案件では、新規事業の進め方そのものを学べることも、一つの成果です。

※本ページは新規事業開発の全体像をまとめています。最初から順番にすべて読む必要はありません。
必要な項目からご覧ください。

【目次】
1.なぜ今、新規事業を考えるのか
2.新規事業がうまく進まない3つの理由
3.既存企業では、個別のアイデアより先に方向性を考える
4.新規事業の全体方針を7つの視点で整理する
5.新規事業は「自社が作れるもの」だけを出発点にしない
6.顧客の課題を深く掘り下げる
7.PEST分析で「世の中の変化」を見る
8. SWOT分析は「強み探し」で終わらせない
9. 3C分析で「顧客・競合・自社」を考える
10.事業構想には複数の入り口がある
11. 狙う領域を絞る(STP・ポジショニングマップ)
12. 「やりたいこと」から「やるべきこと」へ
13.ターゲット・シーン・ベネフィットを具体化する
14.アイデアは「広げてから絞る」―635法・KJ法
15.製品・サービスのコンセプトを具体化する
16.「モノ」ではなく「コト」まで考える
17.技術課題と事業化課題を分けて考える
18.4P分析で「売れる仕組み」まで確認する
19.不確実性に応じて挑戦する領域を決める
20.自前で進めるか、外部と組むか
21.早い段階で試し、修正する
22.経営革新計画や支援制度につなげる
23.事業化できなかった経験も会社に残す
24. 新規事業のテーマは「思いつき」から作らない
25.まとめ―このページの方法も「一例」です
26. 「自分たちで考えられる会社」へ
27. 代替・補完できるフレームワークの例
28. 新規事業について、こんなお悩みはありませんか?

1.なぜ今、新規事業を考えるのか

既存事業が順調であれば、「今、本当に新規事業をやる必要があるのか」と思うかもしれません。
しかし、市場、顧客、技術、人口構成など、事業を取り巻く前提は変わります。既存事業がいつまでも続く保証はどこにもありません。
一方で、既存企業には、顧客との関係、技術、ノウハウ、業界知識、設備、人材、信用、販売網などがあります。
これらは、新規事業に取り組む際の重要な経営資源です。
特に中小企業では、まったくゼロから競争力を作るより、既存事業で培った経営資源を、新しい顧客課題へ結びつけ方が取り組みやすい場合があります。

また、

「なぜ、この会社だからこの事業ができるのか」

を説明できることは、新規事業の強みにもなります。

新規事業を考える際には、既存事業との距離も見ておく必要があります。
新しい顧客に新しい製品を提供し、さらに既存事業のノウハウもほとんど使えない場合は、新規事業開発というより創業に近い難しさになります。

2.新規事業がうまく進まない3つの理由

新規事業が進まない原因を、「良いアイデアが出ないから」だけで説明するのは難しいと思います。
大きく分けると、次の3つの問題があります。

① ビジョンや新規事業開発の方針・戦略がない

「とにかく新しいアイデアを出そう」と始めても、会社として何を目指すのかが決まっていなければ、アイデアを評価する基準がありません。

まず、

なぜ今、自社が新規事業に取り組むのか

を考え、メンバー全員が同じ方向を向けるようにする必要があります。

② 「良質な多産多死」を実現できる組織になっていない

新規事業は不確実性が高く、最初の案がそのまま成功するとは限りません。
重要なのは、

仮説を作る → 試す → 学ぶ → 次に生かす

という試行を繰り返せることです。
また、兼任担当者の場合でも、新規事業へ使う時間を意識的に確保する必要があります。

③ 顧客や市場を十分に見ないまま進める

自社の技術やアイデアだけで進めると、顧客が必要としていないものを作る可能性があります。
逆に、顧客の要望だけを追えばよいわけでもありません。顧客課題と自社の強みの両方を確認します。

3.既存企業では、個別のアイデアより先に方向性を考える

新規事業を考える前に、

  • 今後どの市場へ進みたいか
  • 既存事業をどうしたいか
  • どの経営資源を生かしたいか
  • どの程度のリスクを取れるか

など、会社としての方向性を考えます。アイデアを評価するときにも、

「面白いか」だけではなく、「自社が進みたい方向に合っているか」

を見る必要があります。

4.新規事業の全体方針を7つの視点で整理する

個別の新規事業テーマを考える前に、会社としての新規事業開発の方針を整理しておくと、後の判断がしやすくなります。考え方の一例として、次の7つがあります。

1.全社ビジョンを明確にする

将来、会社をどのような状態にしたいのかを考えます。

2.なぜ今、新規事業なのかを明確にする

既存事業だけでは埋められない将来像とのギャップを確認します。

3.新規事業に使える投資原資を確保する

既存事業で短期的な問題が起きるたびに、新規事業の予算が削られる状態では、長期的な挑戦は難しくなります。

4.どのテーマ・領域を狙うのかを整理する

何でも対象にするのではなく、会社として検討する範囲を定めます。

5.いつまでに、どの程度の成果を求めるのかを決める

新規事業は時間がかかります。
短期売上だけで評価するのか、数年後の事業化を目指すのかによって管理方法も変わります。

6.誰が、どのように進めるのかを決める

専任、兼任、プロジェクト方式、外部企業との共同開発など、体制を考えます。

7.何に、どこまで投資するのかを考える

一つの事業案だけに賭けるのではなく、複数テーマをどのように組み合わせるかというポートフォリオの考え方も必要です。

5.新規事業は「自社が作れるもの」だけを出発点にしない

新製品開発でよくある、

「当社にはこの技術がある」
      ↓
「この技術を使って何か新しい商品を作れないか?」

という考え方自体は必ずしも間違いではありません。(実際、このアプローチでうまくいった事例もあります。)
ただし、それだけで進めると、

「作れるもの」を先に作り、その後で顧客を探す

形になりやすくなります。

そこで、

「何を作れるか」ではなく、「誰のどんな困りごとを解決するのか」

を確認します。

「うちならこれが作れる」だけで進めると、あとからニーズを探す形になりがちです。逆に顧客の困りごとだけ追っても、自社では実現できない事例もあります。結局は、この二つ(ニーズ起点・シーズ起点)を行ったり来たりしながら絞りこんでいく作業が必要になるのかと思います。

6.顧客の課題を深く掘り下げる

顧客に、

「何が欲しいですか?」

と聞くだけでは、本当のニーズが見えないことがあります。

そこで、

  • なぜ必要なのか
  • 何に困っているのか
  • いつ起きる問題なのか
  • 現在はどう対応しているのか
  • 今の方法の何が不足しているのか
  • 解決すると何が変わるのか

まで掘り下げます。

重要なのは、

➀「何が欲しいのか」を聞くだけでなく、「なぜ、それを欲しいと思ったのか」の確認
➁お金を出してでも解決したい課題なのかの確認

です。

7.PEST分析で「世の中の変化」を見る

顧客の課題を考えるとき、目の前の顧客だけを見るのではなく、社会全体の変化も確認します。
そこで使えるのがPEST分析です。

PEST分析は、

  • Political(政治)
  • Economic(経済)
  • Social(社会)
  • Technological(技術)

の視点から、事業に影響する外部環境を整理する方法です。
ただし、新規事業では4つの欄を完全に埋める必要はありません。
自社の事業に影響しそうな変化を数点に絞る程度でも十分役立ちます。
また、一度作って終わりではなく、事業の検討が進んだ段階で必要に応じて見直します。

8. SWOT分析は「強み探し」で終わらせない

SWOT分析では、内部環境を強み・弱み、外部環境を機会・脅威に整理します。
ただし、

「当社の強みは○○技術です」

だけで終わらせないことが重要です。
技術だけでなく、経験、ノウハウ、顧客関係、業界知識、データ、ネットワークなども経営資源になり得ます。
最終的には、

「その資源を使うことで、競合にはできない何ができるのか」

まで考えます。

SWOT分析においては、弱み・機会・脅威も重要ですが、個人的には「強み」を徹底的に掘り下げることが、一番重要だと思います。その上で、強みの活用を目的化するのではなく、顧客課題解決手段の一つとして位置づけることが必要だと思います。

9. 3C分析で「顧客・競合・自社」を考える

3C分析では、

  • Customer(顧客・市場)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)

の3つから考えます。

ここで重要なのは、

顧客 → 競合 → 自社

という順番です。

「自社が何を作れるか」を最初に考えるのではなく、

市場には何が起きているのか。
顧客は何に困っているのか。
競合はどこまで対応しているのか。
その中で自社には何ができるのか。

という順番で考えます。顧客のニーズ(痛み)をどれだけ汲み取れるかが非常に重要です。

10.事業構想には複数の入り口がある

新規事業は、必ず同じところから始まるわけではありません。

例えば、

強み起点型

自社がすでに持っている技術・ノウハウ・顧客基盤から新しい用途を探す。

理想像起点型

将来実現したい会社や社会の姿から逆算する。

市場課題起点型

現在の顧客・市場の困りごとから考える。

社会変化起点型

人口減少、人手不足、環境問題、技術革新など、大きな環境変化から事業機会を探す。

どれが優れているというものではありません。
また、一つの入り口だけで考える必要もありません。

例えば、
社会課題 → 顧客課題 → 自社の強み
とつながる場合もあれば、

自社技術 → 新しい用途 → 新しい顧客課題
という場合もあります。

中小企業では、未知の市場と未知の技術を同時に狙うより、自社の強みか既存顧客のどちらかを足場にする方が進めやすい場合があります。

11. 狙う領域を絞る(STP・ポジショニングマップ)

STPでは、

市場を分け、狙う顧客を決め、その顧客からどう見られたいかを整理します。

例えば、「中小製造業向け」だけでは広すぎるため、

「人手不足が深刻で、既存設備を活かしながら省人化したい企業」

のように、課題まで含めて具体化します。

ポジショニングマップで「競合との違い」を見る

ポジショニングでは、顧客が実際に比較する軸で競合との違いを確認します。
空いているポジションがあるからといって、そこに市場があるとは限りません。

競合がいないのは、

「誰も気づいていない市場」

ではなく、

「顧客が価値を感じない市場」

だからかもしれません。

12. 「やりたいこと」から「やるべきこと」へ

新規事業では、

「自分がやりたい(できる)」

という思いも大切です。
しかし、それだけで事業として成立するとは限りません。
考えたいのは、

「やりたいこと」×「顧客が必要としていること」×「自社が実現できること」

の重なりです。

さらに、

「今、この会社が取り組むべき理由は何か?」

まで考えます。
ここで初めて、新規事業の「テーマ」が見えてきます。

13.ターゲット・シーン・ベネフィットを具体化する

新規事業のアイデアが出てきたら、次に重要なのが、ターゲット・シーン・ベネフィットの3つ(製品コンセプトの3要素)です。

【ターゲット】誰が使うのか?
【シーン】いつ、どこで、どのように使うのか?
【ベネフィット】使うことで、顧客にどんな価値が生まれるのか?

「中小企業向け」「高齢者向け」だけでは、まだ範囲が広すぎます。

「誰が、どのような状況で、何に困っていて、その商品・サービスによって何が良くなるのか」

まで具体化します。

➀自分自身が抱えている課題の場合

【メリット】もっとも共感・理解しやすく、深い洞察が可能となる。

【デメリット】課題による痛みを誇張してしまい、客観的な視点が不足する。


➁身近な人が抱えている課題

【メリット】共感しやすく、自分事として考えられる。

【デメリット】視野が狭くなるケースがある。


➂第三者が抱えている課題

【メリット】客観的な視点を持てる。バイアスがかかりづらい。

【デメリット】自分事として捉えられないため、分析が表面的になりがち。

例えば、「中小企業向け」「高齢者向け」だけではまだ広すぎます。顧客の課題をどう解決するかについて、担当者に「腹落ち感」がでるまで具体化することは最低限必要です。

14.アイデアは「広げてから絞る」―635法・KJ法

635法―短時間でアイデアを増やす

635法は、他人のアイデアを刺激として発想を広げる方法です。
代表形は6人×3案×5分ですが、人数や時間を厳密に守る必要はありません。
中小企業なら、3~4人やオンライン共有でも構いません。

KJ法―増えた情報を整理する

増えたアイデアを、

似たものにまとめる→ グループに名前を付ける→ グループ間の関係を見る

ことで整理します。

15.製品・サービスのコンセプトを具体化する

アイデアを絞ったら、製品・サービスをさらに具体化します。

ここでは、

「この事業は何を実現するものなのか」

を明確にします。
申請書や事業計画書への書き方は、まだ考えすぎない方がよいでしょう。まず事業そのものを固めます。

16.「モノ」ではなく「コト」まで考える

新製品開発では、製品そのものに意識が集中しがちです。

しかし、

作ったモノを通じて、顧客や社会に何を実現したいのか

まで考えることが重要です。
例えば、

「新しい機械を販売する」

だけではなく、

「その機械によって、これまで人手に頼っていた工程を変え、少人数でも生産できる体制をつくる」

というところまで考える。
そうすると、新規事業が単なる「新商品」ではなく、経営戦略としての新規事業になっていきます。

17.技術課題と事業化課題を分けて考える

新規事業では、

「技術的に作れるか?」

だけを考えてしまいがちです。
しかし、製品を作れることと、事業として成立することは別です。

例えば、

技術的課題

どうやって実現するのか?

事業化課題

誰に、どのような価値として提供し、どう事業として成立させるのか?

戦略的課題

この新規事業によって、自社をどのような会社にしていくのか?

という3つに分けて考えると整理しやすくなります。

18.4P分析で「売れる仕組み」まで確認する

テーマとコンセプトが固まったら、

  • Product
  • Price
  • Place
  • Promotion

を確認します。

重要なのは、

「良い商品を作れば売れる」

ではなく、

「誰に、どんな価値を、どのような方法で届け、どう収益化するのか」

まで考えることです。

19.不確実性に応じて挑戦する領域を決める

新規事業にはリスクがあります。

しかし、

「新規事業だから、最も新しいことに挑戦しなければならない」

というわけではありません。

アンゾフのマトリクスで考えると、

  • 既存市場 × 既存製品
  • 既存市場 × 新製品
  • 新市場 × 既存製品
  • 新市場 × 新製品

という4つに整理できます。

一般的には、既存市場・既存製品から離れるほど、不確実性は大きくなります。

中小企業であれば、

  • 既存顧客に新しい商品・サービスを提供する
  • 既存技術を新しい顧客へ展開する

という、既存と新規を組み合わせた領域から始める方法もあります。

既存事業の収益基盤やノウハウを使えるため、まったく未知の市場×未知の製品へ進むより、リスクを抑えやすくなります。

私は、中小企業の最初の新規事業では「新市場×新製品」を積極的には勧めません。顧客理解が深ければ「既存市場×新製品」、技術的な優位性が高ければ「新市場×既存技術」など、既存の強みを一つ残して取り組む方が進めやすいと考えています。

20.自前で進めるか、外部と組むか

自社に必要な技術・人材がある場合は内製、足りない場合は外部連携も検討します。
外部連携する場合は、

  • 守るべき情報を決める
  • なぜその相手と組むのかを明確にする
  • コミュニケーションコストを見込む
  • 自社に何を残すか決める

ことが重要です。

21.早い段階で試し、修正する

最初から完成品を作る必要はありません。簡単なモックアップや試作品でも構いません。(有名な例では、コードレス掃除機のダイソンなどが挙げられます。)

例えば、

➀ モックアップ
➁ 簡単な試作品
➂ サービスの一部提供
➃ 手作業による仮運用
➄ 顧客ヒアリング
⑥ 小規模なテスト販売

など、実際に形にしてみることで、

  • 本当に使いやすいのか
  • 想定した使い方ができるのか
  • どこに問題があるのか
  • 顧客が本当に価値を感じるのか

など、机上では見えなかった課題が見えてくることがあります。
新製品開発は、最初に作った計画どおり一直線に進むものではありません。

考える → 試す → 確認する → 修正する

を繰り返すことが重要です。

22.経営革新計画や支援制度につなげる

ここまで検討しておけば、経営革新計画や補助金などの申請書を書くときにも、いきなり様式の空欄を埋める必要がなくなります。

例えば、

という形で、事業のストーリーがつながってきます。

つまり、

申請書を書くために事業を考えるのではなく、事業を考えた結果として申請書に書く内容が見えてくる

という考え方です。

経営革新計画を作成すること自体を目的にするのではなく、新しい事業を実現するための経営計画として考えることが重要です。

ここまで検討した内容は、経営革新計画や補助金に展開できるよう、事業の骨子として一度整理しておくと使いやすくなります。

23.事業化できなかった経験も会社に残す

新規事業は、最終的には事業化を目指します。
しかし、一つの案が事業化に至らなかったとしても、そこまでの検討をすべて「失敗」として捨てる必要はありません。

例えば、

  • 顧客について分かったこと
  • 市場について調べた情報
  • 技術的に難しかった理由
  • 顧客が価値を感じなかった理由
  • 価格が合わなかった理由
  • 他社との連携で学んだこと

は、次の事業開発に使えます。

また、

  • 仮説を立てる
  • 顧客に聞く
  • 市場を調べる
  • アイデアを出す
  • 絞り込む
  • 試す
  • 振り返る

という経験そのものが、人材育成にもなります。

新規事業開発の成果を、「事業化できたか」だけで評価するのではなく、「次の新規事業を自分たちで考えられるようになったか」まで見ることも重要です。

24. 新規事業のテーマは「思いつき」から作らない

新商品・新サービスの開発をテーマとする場合の流れの例を改めて整理します。

① 外部環境を見る(PEST分析)
   ↓
② 自社と市場の関係を見る(SWOT分析)
   ↓
③ 顧客・競合・自社を掘り下げる(3C分析)
   ↓
④ 狙う領域を絞る(STP・ポジショニングマップ)
   ↓
➄ アイデアを拡散した後集約させる(635法・KJ法など)
   ↓
⑦ ターゲット・シーン・ベネフィットを具体化し、 製品・サービスのコンセプトを固める
   ↓
⑨ 4P・4C、事業性を確認する
   ↓
⑩ 製品企画・事業計画にまとめる
   ↓
⑪ 必要に応じて経営革新計画などの申請につなげる

※これは一例です。実際には顧客ヒアリングから始める場合、自社技術から始める場合などがあります。
また、重要なのは、フレームワークを使うことそのものではありません。

フレームワークは、あくまで「考えるための道具」です。
極端な話、ビジネス感度の高い方であれば、フレームワークを意識せずに新規事業を組み立てることも可能です。

一方で、フレームワークを使うメリットは、
➀ 漏れなく・ダブりなく分析できる
➁ 複数人で進める場合の情報共有の基盤として優秀なものが多い

ことなどが挙げられます。

いずれにせよ最終的に目指すのは、

自社が何を作りたいかではなく、顧客のどんな課題を、なぜ自社が、どのような方法で解決するのかを説明できる状態

です。

25.まとめ―このページの方法も「一例」です

ここまで、新規事業を考える一つの流れを説明しました。
ただし、繰り返しになりますが、

このページの順番どおりに進めれば成功する、という意味ではありません。

会社によって、

  • PESTから考えた方がよいケース
  • 顧客へのヒアリングを先にした方がよいケース
  • 自社技術から考えた方がよいケース
  • 先に簡単な試作品を作った方がよいケース

があります。

大切なのは、

フレームワークに事業を合わせるのではなく、事業を考えるためにフレームワークを使う

ことです。

そして最終的には、

誰のどんな課題を、なぜ自社が、どのような方法で解決し、それを事業としてどう成立させるのか

を、自分たちの言葉で説明できる状態を目指します。

26. 「自分たちで考えられる会社」へ

新規事業の支援では、外部の専門家が事業計画を作って終わりにするのではなく、企業自身が考え方を身につけることも重要です。
外部の専門家から新しいアイデアをもらうだけでは、次の新規事業を自社だけで考えられるとは限りません。

一方で、

  • 市場を見る
  • 顧客の課題を探す
  • 自社の強みを見直す
  • アイデアを広げる
  • テーマを絞る
  • コンセプトを作る
  • 事業性を検証する

というプロセスを経験すれば、次に新しい事業を考えるときにも、その経験を活かすことができます。

新規事業を一度成功させることだけでなく、新規事業を考え、検証し、実行する力を社内に蓄積すること。

それも、新製品開発・新規事業支援における重要な目的の一つです。

私が頻繁に見た失敗事例としては、外部専門家への依存度が高くなった結果、
➀ 専門家の得意領域だけは深く掘り下げられたが、他の掘り下げが不足し、事業化に至らなかった。
➁ 自社内にノウハウを蓄積できず、後続のプロジェクトが続かなかった。
などという事例があります。
外部専門家は、中小企業診断士、税理士、デザイナーなど多種多様ですが、それぞれ得意分野が異なりますが、事業の核となる部分(製品コンセプト)は自社で持つべきです。

27. 代替・補完できるフレームワークの例

今回使用したフレームワークはあくまで一例で、世の中には代替・補完可能なフレームワークが多数あります。
また、フレームワーク自体が馴染まないケース・企業もあるかもしれません。

このページで紹介代替・補完候補何を考えるときに使うか
PESTSTEEP外部環境を広く見る
SWOTTOWS・VRIO戦略案・経営資源を深掘り
3C5Forces業界・競争構造を見る
STPJTBD顧客が本当に達成したいことを見る
635法SCAMPER・ブレインライティングアイデアを広げる
KJ法アフィニティ・ダイアグラム情報・アイデアを整理
TSBValue Proposition Canvas顧客課題と提供価値を詳しく整理
4P4C顧客側・サービス側から検討
事業全体Business Model Canvas / Lean Canvas事業モデルを一枚で整理

どれを使うかより、今何を考えたいのかを先に決める

ことが重要と考えます。

28. 新規事業について、こんなお悩みはありませんか?

  • 新しい商品・サービスを開発したいが、何から考えればよいかわからない
  • 自社の技術や強みを新しい事業につなげたい
  • 顧客から要望はあるが、新商品として成立するのかわからない
  • アイデアはいくつかあるが、どれを選べばよいかわからない
  • 新規事業のターゲットや提供価値を整理したい
  • 経営革新計画を検討しているが、申請書を書く前の事業整理から相談したい
  • 自社だけでは思考が行き詰まるので、第三者と壁打ちをしたい

こうした場合には、申請書の作成だけを考えるのではなく、その前段階にある「何を事業にするのか」「なぜその事業に取り組むのか」を誰かと一緒に整理することが重要です。

新規事業のテーマが明確になれば、経営革新計画などの計画策定も、その事業を実現するための一つの手段として位置づけることができます。

「何を書けばいいのかわからない」から始めるのではなく、「何を実現したいのか」を明確にする。

そこから、新規事業の計画は始まります。

→「新規事業の検討内容を『事業の骨子』として整理する」

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