埼玉県 経営革新計画 申請ガイド

埼玉県で経営革新計画の承認を目指す事業者向けに、申請の手順と実務上の注意点をまとめました。電子申請の開始時期令和6年3月27日から受付開始。全国で3番目の導入県です。使用システム国の経営革新計画電子申請システムを使用します。累計承認件数は、本記事作成時点で全国最多です。
埼玉県の公式情報は、経営革新計画(埼玉県HP)をご参照ください。
また、後述しますが、埼玉県では、他県より詳しい記載例を公開しています。本ホームページで解説記事を公開しておりますので、ぜひご覧ください。

専門家としての所感
埼玉県がホームページで公開している記載例(申請書、事業計画書)の内容を見た限り、例えば、東京都・神奈川県と比較して、「新規性」よりも「実現可能性」を重視している印象です。
テーマとなっている「飲食店がこだわりの弁当を新しく提供する」では、審査基準の厳しい都道府県では、新規性が不十分とみられる可能性があります。
逆に、「実現可能性」は数字面を含めかなり詳しく説明されており、申請の際は、特に数字の根拠や整合性に注意する必要があります。
また、申請書作成だけでなく、計画作成後のフォローアップなどに関する公的機関の支援が、特に充実している印象があります。
申請の流れ(概要)
1 事前相談
本社所在地を管轄する商工会議所または商工会に相談します。個人事業主は代表者の住民票上の住所が基準です。
2 電子申請
事前相談を終えたのち、経営革新計画電子申請システムから申請します。
3 県による審査・承認
提出書類をもとに埼玉県が審査し、承認されると各種支援措置の対象になります。
※詳細は埼玉県の公式HPをご参照ください。
新規性・数値目標の考え方
経営革新計画の審査で問われる「新規性」の判断基準(5類型)や、付加価値額(年率3.0%以上)・給与支給総額(年率1.5%以上)の数値目標の考え方は、全国共通です。詳しくは経営革新計画とは(制度解説ページ)をご覧ください。
埼玉県独自の支援体制
埼玉県には、他県にはあまり見られない特徴があります。埼玉県中小企業診断協会が「経営革新計画策定支援プロジェクト」という約90名体制を組み、無償の専門家派遣制度を通じて相談から計画作成・実行支援までを行っています。この支援は商工団体の専門家派遣制度を活用するため、事業者側の直接的な費用負担はありません。令和5年度からは商工会議所連合会・商工会連合会・中小企業団体中央会、令和7年1月からは産業振興公社も計画作成支援から申請受付まで行う体制に加わっています。
埼玉県が政策的に重視している点
埼玉県の経営革新計画に関する情報発信を見ると、他県よりも「挑戦する企業を後押しする」という姿勢が前面に出ています。制度案内ページ自体のタイトルが「経営革新計画承認制度のご案内 -埼玉県は挑戦する企業を応援します!-」となっており、単なる制度説明にとどまらない、県としての明確なメッセージが込められています。
具体的には、次の3点に力を入れていることが読み取れます。
- 承認して終わりにしない:承認後も「経営革新計画フォローアップツール」を提供し、計画の実行段階まで伴走する姿勢を明確にしている
- 優れた企業を可視化する:「彩の国経営革新モデル企業」として成果を上げた企業を県が指定し、県ホームページや事例集で広く紹介する仕組みを持っている
- 露出の機会を用意する:モデル企業に選ばれると、「彩の国ビジネスアリーナ」(首都圏最大規模のビジネスマッチングイベント)にモデル企業ブースとして出展できる
また、埼玉県の経営革新計画の年間承認件数は近年全国トップクラスで推移しており、単に制度があるというだけでなく、実際に多くの中小企業が活用している点も、県の後押しの姿勢が実を結んでいる表れと言えます。
詳細な記載例を県自らが作成している
経営革新計画の記載例は、多くの都道府県では公開していないか、簡易版の公開にとどめています。しかし、埼玉県は、申請書と事業計画書の詳しい記載例をを県HPで公開しています。
さらに、県自身が「彩の国経営革新モデル企業事例集」という形で、承認企業の取り組み内容を具体的な言葉でまとめた資料を作成・公開しています。これは行政が単に様式を配布するだけでなく、実際の記載内容の”型”を自ら示している点で、他県と一線を画す特徴です。彩の国経営革新モデル企業事例集経営革新計画の承認を受け、計画期間が終了した企業のうち、売上増加や雇用創出などで他の模範となる成果を上げた企業を県が指定し、その取り組みを事例集としてまとめたもので、継続的に発行されており、業種も自動車リサイクル業、屋外広告業、園芸サービス業、パン・菓子製造業、自動車部品製造業など多岐にわたります。
事例集の内容解説
事例集は単なる「成功事例の紹介」ではなく、次の3つの要素で構成されているのが特徴です。
| 構成要素 | 内容 |
|---|---|
| 計画に取り組む前の状況 | その企業がどのような経営課題を抱えていたか、なぜ経営革新に取り組もうと考えたか |
| 計画の策定・実行までの苦労話 | 計画作成の過程で直面した壁、専門家とのやり取り、社内での合意形成など、”生々しい”実務の過程 |
| どのようにして計画実行を成し得たか | 数値目標の達成に向けて具体的に何を行ったか、実行段階でのポイント |
例えば、令和6年度に指定された企業の中には、桶川市のパン・菓子製造業者が「古民家レストラン事業」を新たに開始した事例や、上尾市の自動車部品製造業者が「最新CNCフォーミング機導入によるプレス専用金型レスに向けた加工技術開発」に取り組んだ事例などがあります。業種も取り組み内容も多様で、どのような分野でも自社なりの新規性を見出せる可能性があることが、実例を通じて伝わってきます。
これから経営革新計画に取り組む事業者にとって、こうした実例は「新規性をどう表現すればよいか」「数値目標達成までにどんな苦労があるか」を具体的にイメージする助けになります。様式の書き方だけでなく、計画の”中身”の作り方まで、県自身が示している点は、埼玉県で申請を検討する際の大きな強みだと言えます。
対象となる事業者
中小企業等経営強化法に基づき、新事業活動を通じて経営の相当程度の向上を目指す中小企業者・組合等が対象であり、基本的には他の都道府県と変わりありません。
詳細は当ホームページの記事もしくは埼玉県HPをご参照ください。
承認後に受けられる支援措置
- 政府系金融機関による低利融資
- 信用保証の特例措置
- 課税の特例(設備投資減税等)
- 各種補助金の審査における加点
承認は各支援措置の利用を確約するものではなく、それぞれの機関における個別審査を通る必要があります。
詳細は、当HPの経営革新計画とはをご参照ください。
また、埼玉県独自の支援策もございますので、詳細は埼玉県HPをご参照ください。
埼玉県独自の関連施策
承認企業を対象に「彩の国経営革新モデル企業」の表彰制度や、「経営革新企業販売力強化応援事業」による販路開拓支援が用意されています。承認後のフォローアップとして「経営革新計画フォローアップツール」も提供されています。
相談窓口
埼玉県産業振興公社職員及びアドバイザーがビジネスプラン作成から承認までを支援します。埼玉県中小企業団体中央会計画策定の相談窓口の一つです。商工会議所・商工会本社所在地を管轄する団体が電子申請の事前相談窓口になります。中小企業診断士等の専門家が現状分析・市場分析・計画作成を支援します。
よくある質問
Q. 事前相談はどこにすればいいですか
登記上の本社所在地(個人事業主は住民票上の住所)を管轄する商工会議所または商工会が窓口です。県の産業支援課・地域振興センターでも相談できます。
Q. 相談から承認までどのような流れですか
相談・計画作成・申請の3段階です。まず支援機関に相談し、現状分析をもとに計画をまとめ、申請書を提出して審査を経て承認書が交付されます。
Q. 承認企業の情報は公開されますか
公表を希望する企業のみ、県のサイトで承認企業一覧に掲載されます。希望しない場合は非公開にできます。
現在、個別相談・お問い合わせは準備中です。経営革新計画・関連制度の情報は今後も更新していきますので、よろしければまたご覧ください。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金など国の大型補助金について、経営革新計画の承認が加点項目になる場合があります。
本ページの情報は埼玉県・中小企業庁の公式発表に基づき作成しています。制度は変更される場合があるため、申請前に埼玉県の公式サイトで最新情報をご確認ください。

