新規事業を支援する補助金・経営革新計画・支援制度
新しい商品を開発したい。
新しいサービスを始めたい。
これまでとは違う市場へ進出したい。
新しい設備を導入して事業を立ち上げたい。
新規事業に取り組む中小企業が利用できる公的支援には、補助金だけでなく、経営革新計画などの計画・認定制度、融資・信用保証、専門家による支援など、さまざまなものがあります。

制度を選ぶ前に、顧客・提供価値・自社の強み・数値根拠などを共通の事業骨子として整理しておくことをおすすめします。
ただし、最初から
「使える補助金はないか」
と探し始めるのは、あまりおすすめできません。
先に考えたいのは、
「自社は、どのような新規事業に取り組むのか」
です。
新規事業の内容をある程度具体化したうえで、その実現に必要な支援制度を探していく。このページでは、その考え方と、新規事業を進める際に検討できる主な公的支援を整理します。

まず「新規事業の骨子」をつくる
補助金や融資を検討する前に、新規事業そのものを整理します。
一例として挙げると、

といった流れです。(最適な進め方は各社異なります。)
ここまで整理できれば、経営革新計画、補助金、融資などを検討するときも、制度が変わるたびに事業そのものを一から考え直す必要はありません。
新規事業をどのように考え、具体化していくかについては、別ページで詳しく説明しています。
新規事業の骨子を、制度に合わせて展開する
新規事業の骨子ができたら、次に公的支援の活用を考えます。
ここで注意したいのは、同じ新規事業でも、制度によって見るところが違うということです。
例えば、
経営革新計画:新たな事業活動と経営の向上
新事業進出補助金:新市場・高付加価値事業への進出
旧ものづくり補助金:新製品・新サービス開発などに必要な設備投資
経営力向上計画:生産性向上や経営力の強化
融資・信用保証:新規事業に必要な資金の確保
というように、制度ごとに目的が異なります。
そのため、一つの計画書をそのまま使い回すのではなく、
共通する新規事業の骨子を土台にして、制度の目的や要件に合わせて内容を組み直す
と考えると分かりやすくなります。

新規事業で検討できる主な公的支援
公的支援は、大きく分けると次のように整理できます。
1.新規事業そのものを計画として整理する
経営革新計画
新たな事業活動に取り組み、経営の向上を目指す中小企業が作成する計画です。
新規事業そのものを整理し、今後の売上や利益、実施内容などを中期的な計画に落とし込む場合に検討します。
当サイトでは、都道府県による申請方法や運用の違いについても詳しく解説しています。
2.新製品・新サービス開発に必要な設備を導入する(新モノ補助)
新ものづくり補助金
新製品・新サービスの開発などに必要となる設備投資を支援する補助金です。
「新しいものを作るために設備やシステムが必要」という場合に検討しやすい制度です。
3.設備投資や生産性向上を進める
経営力向上計画・先端設備等導入計画
新規事業を始める際には、新しい設備の導入や業務プロセスの改善が必要になることがあります。
その場合は、経営力向上計画や先端設備等導入計画なども検討対象になります。
→ 経営力向上計画について詳しく見る(公式サイト)
→先端設備等導入制度について詳しく見る(公式サイト)
4.省力化・デジタル化・AIを進める
新規事業に伴って、
・省力化設備を導入する
・ITシステムを導入する
・AIを活用する
・業務をデジタル化する
といった投資が必要になる場合もあります。
こうした場合には、省力化投資やデジタル化・AI導入を支援する補助制度を検討します。
→ 中小企業省力化投資補助金について詳しく見る(公式サイト)
→デジタル化・AI補助金について詳しく見る(公式サイト)
5.新商品・新サービスの販路を開拓する
商品やサービスを作っただけでは、新規事業は成立しません。
Webサイト、EC、展示会、商談会、広告など、新しい顧客を獲得するための取組が必要になる場合には、販路開拓を支援する制度を検討します。また、小規模次御者には、持続化補助金が活用できる場合があります。
→ 販路開拓に使える支援制度(各自治体での支援や、展示会出展の助成金などがあります。)
→小規模企業持続化補助金について詳しく見る(公式サイト)
6.新規事業に必要な資金を調達する
融資・信用保証
補助金だけで、新規事業に必要な資金をすべて賄えるとは限りません。
また、補助金は原則として事業実施後の精算となるものも多いため、事業を実行するための資金を別に準備する必要があります。
そのため、
- 日本政策金融公庫
- 信用保証制度
- 自治体の制度融資
- 民間金融機関
などによる資金調達も合わせて考えます。
例えば、経営革新計画の承認を受ければ、信用保証協会の別枠保証を受けられる可能性があるほか、金融機関からの信頼性向上に役立ちます。
7.専門家の支援を受ける
公的支援は、お金だけではありません。
新規事業の検討段階では、商工会議所・商工会、よろず支援拠点、認定経営革新等支援機関、都道府県等の産業支援機関などから支援を受けられる場合があります。
まだ事業内容が固まっていない場合には、補助金を探すより先に、事業そのものについて相談した方がよいケースもあります。
8.事業承継・M&Aをきっかけに新規事業を始める
事業承継やM&Aをきっかけとして、新商品を開発したり、新しい市場へ進出したりするケースもあります。
この場合には、新規事業支援だけでなく、事業承継・M&A関連の支援制度も合わせて検討します。
一つの制度ですべてを賄う必要はありません
新規事業を進めるときは、必ずしも一つの制度だけを利用するわけではありません。
例えば、
新規事業の計画を整理する→ 経営革新計画
新製品を作るための設備を導入する→ ものづくり補助金など
IT・AIを導入する→ デジタル化・AI関連の補助制度
補助金だけでは資金が足りない→ 融資・信用保証
販売先を開拓する→ 販路開拓支援
というように、一つの新規事業でも複数の支援制度が関係することがあります。
ただし、制度によって併用の可否や対象経費、申請時期などが異なります。
また、補助金については、同一テーマでの複数の承認を得ることは出来ないことが多い(申請自体は可)です。
「使えそうな制度を全部使う」のではなく、新規事業を実現するために何が必要なのかを整理したうえで、必要な制度を選ぶことが基本です。
新規事業から公的支援を利用するまでの流れ
基本的には、次の順番で考えます。
新規事業のアイデア
↓
顧客の課題・自社の強みを整理
↓
新規事業の骨子を作る
↓
必要な設備・人材・資金を整理
↓
利用できる計画・補助金・融資・支援制度を探す
↓
制度の目的・要件に合わせて内容を整理する
↓
必要な支援を組み合わせる
↓
新規事業を実行する

どの制度を使えばよいか分からない場合
制度名を一つずつ調べる前に、まず次の4つを整理してみてください。
① 何を新しく始めるのか
新商品、新サービス、新市場、新しい販売方法など、何に取り組むのか。
② 何が必要なのか
設備、システム、人材、広告、研究開発など、事業を実現するために何が必要なのか。
③ いくら必要なのか
設備資金だけでなく、事業が軌道に乗るまでの運転資金も含めて考えます。
④ いつ実行するのか
補助金や計画制度には、申請時期や認定・交付決定のタイミングがあります。
この4つが整理できると、
・新規事業そのものの計画が必要なのか
・設備投資の支援が必要なのか
・販路開拓なのか
・融資なのか
が見えやすくなります。
補助金に合わせて事業を作らない
このページで最もお伝えしたいのは、この点です。
補助金や支援制度は、新規事業を実現するための手段です。
「この補助金があるから、この事業をやる」
ではなく、
「この新規事業を実現したい。そのために利用できる制度は何か」
という順番で考えます。
そして一度、新規事業の骨子をしっかり作っておけば、経営革新計画、補助金、融資などを検討するたびに、事業そのものをゼロから考え直す必要はありません。
新規事業の骨子を共通の土台にして、それぞれの制度の目的や要件に合わせて必要な部分を整理し直す。
この考え方が、効率的に公的支援を活用しながら新規事業を進めるうえでの基本になります。
新規事業そのものをまだ整理できていない方へ
補助金や融資を調べる前に、
- 顧客は誰か
- どのような課題を解決するのか
- 自社の何を活かすのか
- 何を提供するのか
- 競合と何が違うのか
- どうやって売上を作るのか
から整理してみてください。
当サイトでは、新規事業のアイデアを事業計画まで具体化していく流れを別ページで解説しています。
