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IT・デジタル業の経営革新計画申請ガイド|新規性の示し方と注意点

更新日:2026/05/06

IT・デジタル分野は、新しいサービス・プロダクトの開発が事業の中心であるため、経営革新計画の「新規性」を示しやすい業種です。一方で、業界用語の多用・技術的な説明への偏り・売上根拠の薄さという共通した問題が発生しやすい業種でもあります。


第1章 IT・デジタル業が選びやすい類型

類型② 新役務の開発又は提供(最多)

新しいSaaS・アプリ・プラットフォームの開発・提供が該当します。

具体例:
・中小企業向けの在庫管理SaaSを新たに開発し
 月額課金モデルで提供する
・AIを活用した○○業務支援ツールを開発し
 クラウドで提供する

類型④ 役務の新たな提供方式の導入

既存サービスのデジタル化・オンライン化が該当します。

具体例:
・対面のみだったITコンサルティングをオンライン・サブスクリプション型に転換する
・個別対応だったシステム保守をリモート監視型に切り替える

第2章 IT・デジタル業での新規性の示し方

2-1. 業界用語への説明が必須

IT分野は専門用語が多く、審査官が業界専門家でない場合、意味が伝わらないことがあります。

説明が必要な用語の例:

SaaS → ソフトウェアをインターネット経由で提供するサービス形態

API連携 → 異なるシステム間でデータをやりとりする仕組み

アジャイル開発 → 短いサイクルで開発・ テスト・改善を繰り返す開発手法

クラウド移行 → 自社サーバー上のシステムをインターネット上のサーバーに移す

初出の専門用語には必ず括弧書きで説明を加えてください。

2-2. 「AI活用」は新規性の説明にならない

IT分野でよく見られる問題です。

新規性にならない表現:
「AIを活用した革新的なサービスを提供する」
「最新技術を用いたシステムを開発する」

新規性になる表現:
「当社がこれまで提供してきた○○サービスは人手による対応が中心だったが、
 今回○○のAI技術を導入することで、24時間対応・処理速度○倍を実現する。
 当社としてAI技術の導入は初めての取り組みである」

第3章 IT・デジタル業での実現可能性の示し方

3-1. 売上根拠が最大の課題

IT・デジタルサービスは、サービス開始前に売上を示す根拠を作ることが難しいです。

有効な根拠の作り方:

①既存顧客へのβ版・試験提供
 「既存顧客○社にβ版を提供し、○社から本導入の意向を確認した」

②類似サービスの市場実績
 「類似カテゴリーのSaaSは国内で○○億円市場(○○年調査)。
  当社のターゲット層は○○社と推計」

③パイロット顧客との契約・覚書
 「○社と試験導入の覚書を締結済み。本格導入時の月額費用は○○万円の想定」

3-2. 開発体制の実現可能性

システム開発の実現可能性として、開発体制の説明が必要です。

示すべき内容:
・開発担当者の経歴・スキル
・外注する場合は協力会社との関係
・開発期間・マイルストーンの妥当性
・過去の類似開発実績

第4章 IT・デジタル業が注意すべき法規制

確認が必要な主な法規制:

個人情報を扱うサービス
 ⇒ 個人情報保護法
 ⇒ プライバシーポリシーの整備

決済・金融関連サービス
 ⇒ 資金決済法
 ⇒ 割賦販売法

通信・プラットフォーム
 ⇒ 電気通信事業法

医療・健康関連アプリ
 ⇒ 薬機法(医療機器に該当する場合)

マッチングプラットフォーム
 ⇒ 職業安定法(人材紹介に該当する場合)
 ⇒ 古物営業法(中古品取引の場合)

特に医療・健康関連のアプリは、薬機法上の医療機器に該当するかどうかの確認が必要です。該当する場合、承認・届出なしに販売することはできません。


まとめ

IT・デジタル業での申請ポイント:

➀ 類型は➁(新役務)か➃(新提供方式)が多い
➁ 専門用語には必ず括弧書きで説明を加える
➂ 「AI活用」だけでは新規性にならない
➃ 売上根拠はβ版提供・類似市場実績・覚書で示す
➄ 個人情報・決済・医療関連の法規制を確認