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製造業の経営革新計画申請ガイド|新規性の示し方と注意点

更新日:2026/05/06

製造業は経営革新計画との親和性が高い業種です。新製品の開発・新工法の導入・技術研究開発など、複数の類型に該当しやすく、申請件数も多い業種です。

一方で、製造業特有の注意点があります。「技術力がある」という主張だけでは根拠にならない点、設備投資の計画と財務計画の整合性、法規制の確認など、書き方に気をつけるべきポイントが複数あります。

東京都での審査実務経験をもとに、製造業での申請ポイントを整理します。


第1章 製造業が選びやすい類型

類型③ 商品の新たな生産方式の導入(最多)

製造業で最も多いパターンです。既存製品はそのままに、生産プロセス・工法を変える取り組みが該当します。

具体例:
・手作業による生産ラインを自動化する
・新しい加工技術を導入し小ロット多品種対応を可能にする
・生産管理システムを導入しリードタイムを短縮する

類型① 新商品の開発又は生産

これまで手がけていなかった分野・製品への参入が該当します。

具体例:
・既存の金属加工技術を活かしてこれまで未対応だった医療機器部品の製造に参入する
・樹脂成型技術を活かして新分野向けの製品を開発する

類型⑤ 技術研究開発及びその成果の利用

研究開発から事業化まで計画している場合に該当します。

具体例:
・加工が困難とされてきた新素材の大量加工に関する研究を行いその技術を自社製造ラインで活用する
・大学との共同研究により新しい表面処理技術を開発し自社製品に応用する

第2章 製造業での新規性の示し方

2-1. 「技術力がある」は根拠にならない

製造業の計画書で最も多く見られる問題です。

根拠にならない表現:
「当社は高い技術力を持っている」
「○年の製造実績がある」
「品質管理が徹底されている」

根拠になる表現:
「当社は○○分野の加工において精度○○μmを実現しており、業界一般的な水準(○○μm)を上回る」

「過去○年間で○○件の特殊加工案件を受注・納品した実績がある」

技術力は「数字」で示すことが基本です。

2-2. 新規性の3つの視点

製造業での新規性は、次の3つの視点で整理すると書きやすくなります。

視点➀ 材料・素材の新規性
 これまで扱っていなかった素材・材料を使う

視点➁ 工法・プロセスの新規性
 生産プロセス・加工方法を変える

視点➂ 対象製品・対象市場の新規性
 これまで手がけていなかった
 分野・製品・顧客層に展開する

第3章 製造業での実現可能性の示し方

3-1. 設備投資との整合性

製造業の計画書では、設備投資の計画と財務計画の整合性が特に重要です。

確認すべき整合性:

設備の導入時期
 ⇒ 実施計画の時期と財務計画の
   設備投資計上時期が一致しているか

減価償却費
 ⇒ 設備の耐用年数・償却方法が
   財務計画に正しく反映されているか

設備導入による効果
 ⇒ 生産能力向上・コスト削減効果が
   数値目標に反映されているか

3-2. 実現可能性の根拠として使えるもの

・設備メーカーからの見積書(設備の仕様・価格・納期が確認できる)

・試作品・サンプルの製作実績(技術的な実現可能性の証明)

・取引先からの発注意向書・覚書(需要の実在を示す一次情報)

・業界統計・市場規模データ(対象市場の存在を示す客観的根拠)

・設備メーカーによる研修プログラムの存在(人材育成の実現可能性の根拠)

第4章 製造業が注意すべき法規制

製造業は業種・製品によって様々な法規制があります。計画書作成前に必ず確認してください。

確認が必要な主な法規制:

食品製造業
 ⇒ 食品衛生法・食品表示法

医療機器製造業
 ⇒ 薬機法(製造業許可・製造販売業許可)

化学品製造業
 ⇒ 化学物質の審査及び製造等の
   規制に関する法律(化審法)

建設資材製造業
 ⇒ 建設業法・建築基準法関連

電気機器製造業
 ⇒ 電気用品安全法(PSEマーク)

法規制への引っかかりは、受付機関との打ち合わせで指摘されるか、審査会で初めて指摘されるかのどちらかです。後者になると修正が大変です。事業内容が決まった段階で、顧問弁護士・行政書士への確認を強くお勧めします。


まとめ

製造業での申請ポイント:

➀ 類型は➂(新生産方式)か➀(新商品)が多い
➁ 「技術力がある」は数字で示す
➂ 新規性は材料・工法・対象市場の3視点で整理
➃ 設備投資と財務計画の整合性を確認
➄ 業種固有の法規制を事前に確認